1996年にバンダイから発売されたゲームである、社会現象となったたまごっちは、非常な人気でワールドワイドで親しまれていました。世紀末の96年代には2000年代の今のように誰もがスマートフォンを持っている時代ではなく、小型のゲーム機で携帯ペットを卵から育てることができる、というのはとても新しい試みでした。そして、2021年の現在でもバンダイはたまごっちを販売していることをご存知の方もいるでしょう。現在販売されているたまごっちのパターンとしては、人気の高い作品のキャラクターにフォーカスされて、限定で販売するという手法が取られています。携帯で写真が撮れる今となってはインスタントカメラは廃れているかと思えば、若い世代には一周回って新しいと人気が出ているのと、たまごっちも同じなのかもしれません。
イグノーベル 賞 たまごっちの開発者・功労者が受賞
ではここまで息の長いたまごっちの歴史を、ひも解いていきましょう。96年に販売されたたまごっちの開発者はAkihiro Yokoi(横井昭裕)という人物です。そしてAkihiro Yokoiと共にイグノーベル賞経済賞を受賞した、たまごっちの功労者がAki Maita(真板亜紀)です。
この二人がたまごっちの開発・企画者として名を馳せていますが、実は横井氏はバンダイの人間ではありません。大学卒業後にバンダイに入社したものの87年には別会社を設立しています。そして人気が高かった当時、メディアに多く露出していたのは真板氏のほうです。
たまごっちの人気は長く続き、失敗すると死ぬこともありました。また、育ってみるまではどのようなキャラクターになるのかわからず、おやじっちというキャラクターやにょろっちと呼ばれる様々なキャラクターになりました。社会現象となったこのゲームは学校に持ち込んで授業中でも隠れて育成する人や、育成を受けるバイトのようなものまで存在し、多くの影響を与えています。販売個数の少ない種類のたまごっちは、非常に高価な値段でやりとりもされました。今の転売問題と似たような現象も90年代末には起きています。そのため「数百万人分の労働時間を、仮想のペット養育に費やさせた功績」と称してイグノーベル 賞 たまごっちの開発者と功労者である横井氏と真板氏は受賞したようです。
現在の日本では、たまごっちは密かにバンダイを支える玩具として残されています。昔のような高額でやりとりされる玩具ではなくなったものの、ターゲット層を絞って販売されています。スマートフォン一つあればどんなゲームでもプレイできるのに慣れた若者にとっては、それ一つのプレイしかできないたまごっちは珍しいのかもしれません。